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ノイズキャンセラ

ノイズキャンセラのシミュレーション

LMS適応フィルタにより未知システムの伝達関数が求められます。この仕組みを使ってノイズキャンセラが作れます。ノイズキャンセラの使用例を、コンサートで音楽を録音している時に騒音(ノイズ)が録音マイクに混入してしまうような場合を例に考えながら、ノイズキャンセルの仕組みについて調べてみましょう。

LMS適応フィルタを使ったノイズキャンセラ

“ノイズキャンセルの一例”のブロック図と、この例の場合の信号を対応させてみます。

音楽信号: コンサートで演奏している音楽の音
ノイズ: 例えばエアコンの送風音
未知システム: エアコンの送風音が録音マイクに届くまでの系

ここで重要なことは、エアコンの送風音(ノイズ)が録音マイクに届くまでには、音質が変わって(ある周波数の音は大きくなったり小さくなったり、あるいは位相が変化したり)しまうことです。ですので、エアコンの送風音(ノイズ)をマイクで拾って、ノイズが混入した音楽信号から単純に引き算をしても、すでに波形は変化してしまっていますのでノイズを消すことはできません。こんな時、LMS適応フィルタを使ったノイズキャンセラを使います。

LMS適応フィルタとは?

音楽イメージLMS適応フィルタは、基本的にはFIRディジタルフィルタですが、その違いはフィルタ係数を更新できる仕組みを持っていることです。この仕組みにより、未知システムの伝達関数(周波数特性・信号が変化する内容)を求めることができます。LMS適応フィルタに未知システムと同じ伝達関数が得られた時、初めてノイズが混ざった音楽からノイズだけをキャンセルできるようになります。


ノイズキャンセラの構成

ノイズキャンセラは、二つの入力(参照入力と目標入力)とひとつの出力を持ちます。参照入力には、ノイズ発生源(エアコンの送風音)の信号を入力し、目標入力にはノイズが混入した音楽信号を入力します。

参照入力のノイズは、LMS適応フィルタに入力され、その出力は位相反転して目標信号と加算します。この時、LMS適応フィルタに未知システムと同じ伝達関数が求められていれば、その出力波形は未知システムの出力波形と同じになります。したがって、位相反転して加算すればノイズだけ取り除くことができます。

ここで、ノイズキャンセラの出力信号をLMS適応フィルタの誤差入力に戻している仕組みは、消しきれなかった信号を使ってLMS適応フィルタのフィルタ係数を更新する為に使われ、この仕組みによって未知システムの伝達関数が求められます。

オシロスコープによる波形の観測

未知システムに簡単な周波数特性のモデルを当てはめて、LMS適応フィルタにこのモデルの伝達関数が求められていく様子をシミュレーションしてみることにしましょう。


  • CH1: 音楽信号に相当する1kHzの正弦波
  • CH2: ノイズが混入した1kHzの信号
  • CH3: LMS適応フィルタの出力を反転した信号
  • CH4: ノイズがキャンセルされた信号

CH3の信号が次第に大きくなるにしたがって、CH4の信号波形からノイズが除去されていく様子が観測できます。これは、LMS適応フィルタが未知システムの特性に適応していくからです。

周波数アナライザによる観測

CH1は未知システムの周波数特性(伝達関数)を表示しています。CH2はLMS適応フィルタの周波数特性を示しており、時間の経過と共に次第に未知システムの周波数特性に近づいていくことが分かります。


ひとつの部品としてのLMS適応フィルタを使ったノイズキャンセラ

ここではひとつの部品としてのLMS適応フィルタを使ってノイズキャンセラを作ってみました。 複雑な伝達関数を持った未知システムをシステム同定するような場合、フィルタ係数の数はとても多く必要となります。例えば、数千以上のように...。このような時は、前ページのような個別の部品を使ってLMS適応フィルタを作ってシミュレーションすることはできません。そこで、ここで使っているようなひとつの部品としてのLMS適応フィルタがあり、これは4096タップまで設定することが可能です。同じ動作をすることが確認できます。

ノイズキャンセラの構成

LMS適応フィルタを使って伝達関数を求める

未知システムとしてオペアンプによる2次ローパスフィルタを使い、この伝達関数(周波数特性)をLMS適応フィルタを使って求めてみます。このような、未知システムの伝達関数を求めることをシステム同定と言います。

ここでのLMS適応フィルタについて

ひとつの部品としてのLMS適応フィルタのエラー入力(“E”と表示)に何もつながなければ内部のエラー信号が使われます。また、何らかの信号が入力されていれば、その信号が使われるようになります。この切換えは自動的に行なわれます。

オシロスコープのCH4の信号が十分小さくなった時がシステム同定の終了で、LMS適応フィルタのフィルタ係数に未知システムの伝達関数が求められています。

システム同定の構成

周波数アナライザによる観測

CH1は未知システムの周波数特性(伝達関数)を表示しています。CH2はLMS適応フィルタの周波数特性を示しており、時間の経過と共に次第に未知システムの周波数特性に近づいていくことが分かります。サンプリング周波数が36kHzですので、 ナイキスト周波数である18kHzまでの特 性が求められます。

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